死にたがりの少女

7/7
前へ
/123ページ
次へ
「神に誓って?」 「うん。槇島恵一、神に誓って女性を胸だけで好きになったりしません!」 「でも、小さいよりは大きい方がいいんでしょ?」 「勿論、それはそうでしょ?」  プチン、と、小さく聞こえた何かが切れた音。顔が真っ赤になっていくアリエスを見れば、誰の何が切れたかは言わなくても分かるだろう。 「死ね! 死ね死ね死ね! 変態! おっぱい星人!」 「そこまで言わないで! って言うか、殴るのを止めて欲しい! 肋が、肋が砕けちゃうよ!」 「あぁん? 焼肉のタレが何だってぇ?」 「それはエ○ラ! って言うか、性格変わっちゃってるよ! 待ってマジで! ヘルプ、アリエス様!」 「……なら、これから毎日ここに来なさい。私が生きるための理由として」 「……それでいいなら、毎日来るよ! だから、そろそろやめよう? 痛い通り越して、感覚ないんだ」  怒りで真っ赤だった顔は次第に落ち着きを取り戻し、最後に一撃、一番重いのを鳩尾に入れて、ようやく落ち着いた。代わりに、恵一の肋は青く変色していた。  アリエスは、そんな恵一に(なぜか持っていた)湿布を渡すと、 「明日来なかったら、恵一には釘バットでのマジ殴りをプレゼントしてあげるからね」  それだけ呟いて屋上を去っていった。  屋上にただ一人残されてしまった恵一は、 「……やっぱり、アリエスさんは可愛い人だ」  と呟き、肋に湿布を貼ってその冷たさと痛みに悶絶していた。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

471人が本棚に入れています
本棚に追加