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「神に誓って?」
「うん。槇島恵一、神に誓って女性を胸だけで好きになったりしません!」
「でも、小さいよりは大きい方がいいんでしょ?」
「勿論、それはそうでしょ?」
プチン、と、小さく聞こえた何かが切れた音。顔が真っ赤になっていくアリエスを見れば、誰の何が切れたかは言わなくても分かるだろう。
「死ね! 死ね死ね死ね! 変態! おっぱい星人!」
「そこまで言わないで! って言うか、殴るのを止めて欲しい! 肋が、肋が砕けちゃうよ!」
「あぁん? 焼肉のタレが何だってぇ?」
「それはエ○ラ! って言うか、性格変わっちゃってるよ! 待ってマジで! ヘルプ、アリエス様!」
「……なら、これから毎日ここに来なさい。私が生きるための理由として」
「……それでいいなら、毎日来るよ! だから、そろそろやめよう? 痛い通り越して、感覚ないんだ」
怒りで真っ赤だった顔は次第に落ち着きを取り戻し、最後に一撃、一番重いのを鳩尾に入れて、ようやく落ち着いた。代わりに、恵一の肋は青く変色していた。
アリエスは、そんな恵一に(なぜか持っていた)湿布を渡すと、
「明日来なかったら、恵一には釘バットでのマジ殴りをプレゼントしてあげるからね」
それだけ呟いて屋上を去っていった。
屋上にただ一人残されてしまった恵一は、
「……やっぱり、アリエスさんは可愛い人だ」
と呟き、肋に湿布を貼ってその冷たさと痛みに悶絶していた。
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