缶蹴り~前編~

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このままじゃヴァイオリンに雪亜が行っちゃいそうなんで、最終兵器を使わせてもらうとしますか。 「あのね、一樹が缶蹴りをしたいって言い出したの」 『…え?今なんと?』 このお嬢様、エサに食い付いてきやがりました。 「来てくれたら一樹がどれだけ喜ぶんだろうね…。まぁヴァイオリンで忙しそうな雪亜には関係ないけど…」 『い、いえ!そんなことありませんわよ!…貴女がそこまで言うなら行ってさしあげないことも…』 「いやいや、悪いよ。ヒマじゃないんだもん、雪亜は…」 『あんなものいつでも断ち切れますわ!たまには貴女のヒマに付き合ってあげますわ!』 「…いいよ。沙希でも誘うから」 『…少し待っていただける?』 受話器をどこかに置く音がした。 そして耳に全神経を集中させる…。 『今日の予定を全て破棄なさい!絶対よ!』 『お嬢様、それでは私が旦那様に…』 『私からだと言っておきなさい!歯向かうようなら"お父様の会社を一つ潰すくらい他愛もない"と言ってやりなさい!』 『は、はい。かしこまりました…』 …私の缶蹴りで会社一つ潰れそうです。
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