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「こらー!晶斗(アキト)に悠人(ユウト)教室に戻れー!」
教室から見事にエスケープしたつもりだったが一番厄介な奴に気付かれてしまった。
教室を出てすぐにダッシュ。
俺と親友の悠人を呼び止めるのは風紀の鬼こと橘杏子(タチバナアンズ)奴のしつこさは神すら平伏す。
「晶斗!ここらで別れるで!」
「あぁ、健闘を祈る!」
「ほなお互い賭けや」
ビシッと敬礼して俺は東塔へ、悠人は西塔へと走った。
もし杏子がこっちへ来たら生存出来る確率は40%くらいになる。
悠人の方へ行けば70%くらいだろう。
◇ ◇
走る事3分。此所は東塔の図書室。
背後に聞こえて居た杏子の叫び声が聞こえない。
恐らく悠人が生け贄に捧げられたのだろう。まぁ安心は出来ない。
(良い親友だったぞ悠人……)
死んではいないのだが、勇気あるエスケープ仲間に手を合わせる。
ガタッ……
(杏子かッ!?)
静かな図書室に起こるはずのない音。
その椅子が動いた用な音から安易に想像出来る。
(静かに俺を追って来て居たのか?油断ならないな……)
今いる場所は入口の真反対の隅。
少しずれれば全てが見渡せるベストポジション。
しかし、完全に悠人の方へ行ったと油断していたので焦りが生じる。
杏子の前ではその焦りすらが死を意味する。
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