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今日の漫才は本当にイラついた。
確かに春日が俺に対してイラつくことを言ってくるネタだったから当たり前と言えば当たり前なのだが…
それに春日のアドリブがプラスされたせいで、漫才中に思わず裏に行ったら怒る宣言をしてしまった。
「春日、覚悟は出来ているんだよな。」
「…はい。」
10発は殴ってやる、とパキパキ指を鳴らすと、春日は正座した状態で俺を見上げてくる。
仔犬が“飼って?”と見てくる目だ。
この場合は“許して?”だろう。
だが俺は容赦なく蹴った。
「ゔあっ…」
その勢いで吹っ飛ばされた春日は床に叩き付けられる。
「…仕方ねぇからこれで許してやる。」
気分が治まらない。
本当はもっと殴りたい。
わかってる。これは八つ当たりだ。あんなネタを考えた俺が悪い。
「…もう二度とあのネタはやらねぇ。」
「……ウィ…」
「オラ、早く帰るぞ。」
着替えろ、と軽く春日を蹴る。
「…若林さん…あの、この後もしよかったら食事でも。」
「…お前の奢りだぞ。」
「う…ウィ…」
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