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「点滴は抜けないよ……。」
「でも、抜きたい…。もうこんなのいや…」
「俺が側にいるから、安心してよ。な…?
辛いけど、頑張ろ?」
「いつ?」
「いつって?」
「いつ一平は私の事思い出してくれてる?」
「いつもだよ…」
「……ほんとに?
いつまで一緒にいれるの…」
「ずっとだよ……。」
「病気がなおらなくても?
一緒にいてくれるの?……」
泣きじゃくって半分は声になっていない私を一平は壊れそうな何かを触るように優しく抱き締めていた。
「うん…
ずっと一緒にいるよ。」
泣き疲れた私の耳に一平の声が優しく響いた…
もし裏切られたらなんて…
そんな事、考えるのは辞めよう…。
一平は本気で私を愛してくれている。
じゃなきゃこんな窮屈なベッドで、朝まで私を抱き締めてくれるはずがない…。
病気になって辛いのは私だけじゃない…。
病気の彼女がいる一平もかなり辛い想いをしてるはずだ…。
一平の事を何も考えてあげられていなかった。こんなに優しい一平を疑うなんて…。
一平の優しさに
安堵して、眠りについた私は、病気の疲れから少しだけ解放されて幸せな夢を見た。
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