1174人が本棚に入れています
本棚に追加
病室の窓から見える景色は、ピンク色だった。
病院の中庭に沢山の桜が花を咲かせていた。
春の景色は、私に少しだけ元気をくれる。
もうすぐ一平の誕生日だ…
プレゼントも買いに行けない、もちろん会いにいくことも出来ない…。
お祝いしてあげたいな…。
そんな事を考えながら
携帯の新着メールを問い合わせてみるが一平からメールはない。
私からはこまめにメールはするものの、仕事中はもちろん返信はなかった。
先週も急に仕事になったからと面会には来なかった。
会いたいな…
一平、元気にしてるかな…
なにしてるんだろ…
独り暮らしでちゃんとご飯食べてるのかな…。
彼女らしいことが
ひとつもできない私が
彼女らしいことを
考えてしまう…。
一平に会いたい…。
「みくちゃん、今日の調子はどう?」
気づいたらベッドで横になる私の顔を先生が覗きこんでいた。
大学病院の医者なんて、
大病の私を実験材料としてしか見ていないことくらい分かってる。私はわざとどうでもいい返事をする。
最初のコメントを投稿しよう!