失う時

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小さなスーパーはところ狭しに色んな食品が並んでいる。 アパートの近くにこんなとこあったんだ… 恵里菜はカートを俺に任せて、食料品を次々にカゴに入れる。 そういえば恵里菜はこれでも主婦なんだ… 誰が見ても綺麗な恵里菜は結婚してるなんて知らないやつが見ても想像できないだろう。キャリアウーマンな恵里菜はいつもスーツで小綺麗にしている。結婚していても会社では男性社員からの評判もよかった。 家で主婦してるんだな… 恵里菜が食品を選んでいる後ろ姿を見ながら、家庭での恵里菜はどんなだろうと想像した。 今まで考えたこともなかった。 「一平くん!遅いよ…はやくこっちきて。」 「あぁ……うん。」 カゴ一杯になった食料品をレジに運び、精算を済ませた。 要領よく買い物袋に食品を入れる恵里菜を関心して見ていた。 「さっ。荷物もってくれる?あたし重いの無理だから。」 「うん…。」 両手に抱えた買い物袋は野菜やら調味料やらで異様に重かった。 「なあ…これどうすんの?」 「一平くんが食べるに決まってるでしょ?あたしが作るから。」 「恵里菜が料理すんの?」 「そうだよ。お腹すいたね…はやく帰ろう…。」 恵里菜は俺の少し前を歩きながら、無言だった。 毎日会社では恵里菜と顔をあわせていた。だけどあの日からろくに口も聞いてなかった。恵里菜が突然今日現れて俺に料理を作るという…。 一体どうゆうことだろ…。 もうあの日の事は気にしてないんだろうか…?
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