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キッチンに立つ恵里菜の後ろ姿にほんの少しでも欲情してしまっている自分に嫌気がさしていた。
「さっ出来たよ~」
そう言って恵里菜がテーブルに料理を運んできた。
「俺も手伝うよ…。」
間が持たない俺はキッチンに行き、皿に盛られた料理を見て度肝を抜かれた。
「なんだよこれ?凄くないか?恵里菜って主婦っていうより、シェフみてーだ……」
呆気にとられている俺に恵里菜が言った。
「たまにはこうゆうのもいいでしょ?結婚する前料理まったく出来なくてこっそり料理教室に通ってたの。
その時に覚えたんだぁ~」
それは、フレンチのコースみたいな料理だった。生魚に綺麗な色のソースがかけられたカルパッチョみたいなプレートや、香草が添えられた香ばしく焼いている肉のプレートまであった。
恵里菜の性格は女というよりは男に近い。
なのにこんなどこかの店で出すような料理を作った恵里菜に、女としての繊細さを感じていた。
「恵里菜ってギャップがすげ~よな。」
「なによ?どうして?」
「いや…こんなの作れるようには見えないからさ。」
「正直なやつだな一平くんは。」
「早く食べようよ、俺腹減ったよ。」
「うん、食べよ!」
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