薄い紙切れ

5/26
前へ
/94ページ
次へ
寝室のドアを開けると、翔太の寝息が聞こえた。 寝ててよかった・・・・ 安堵したあたしは、ベッドの端にそっともぐりこんだ。 ダブルベッドの片隅で、 携帯電話の電源をOFFにする。 枕の下に携帯を挟み、 目を閉じた。 さっきまで、別の男に抱かれていたあたしが、 何もなかったように翔太の隣で眠る。 この矛盾・・・。 翔太はあたしの帰りが遅くても、 最近何も言わない。 というよりもあたしに対して もう興味がないのかもしれない。 結婚して2年目、あたしは 夫以外の男に抱かれている。 何も知らない翔太の寝息が、 やけに胸を切なくさせた。 これは情なのか・・・ なんなのか・・・。 大学時代からつきあってきたあたしたちは 長い長い交際期間を経て、 結婚した。 恋愛の絶頂、 最高点に達した時、翔太はあたしにプロポーズした。 長い付き合いだからこそ出来る、 極上のセックス。 欲望のままに、あたしたちはとても淫らに 抱き合い愛を深めていった。 誰にも口外できないような、 セックスプレイ。 二人だけの秘め事に、 二人は没頭した。 結婚という形は、まさにその集大成とでも 呼ぶのか・・、 とにかくあたしたちは、 結婚することで、この愛を証明したかったのかもしれない。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1174人が本棚に入れています
本棚に追加