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俺は、とにかくイライラが募っていたのでズンズン歩いた。
最低な休日だよ、今日は。
ふと、地面を這う蟻に目がいった。
大変そうだな。毎日毎日忙しく這い回って。
「休日」ってものすらねえのかもな。
でも不平も言わずずっと働き続けてる。
なんかすげえな。
ちょっと元気が出て、蟻から目を離して前を向く。
前から数人の人影が近づいてきていた。
――既に自分との距離、数十㎝。
「痛っ…!」
先頭を歩いていた男に肩がぶつかってしまった。
「あの…すみません」
俺が謝ると、その大柄の男はゆっくりと振り返る。
「どこ見て歩いてんだよ」
大柄の男が脅しの効いた静かな声でそう言うと、残りの二人の男もこっちを睨んできた。
正直……かなり怖い。
「すみません、急いでるんで」
俺は再度謝り、そのままくるっと向きを変えて歩き出そうとした。
その時――
不意に左のあごに走った衝撃。
俺はくらくらと目眩がして、その場に倒れる。
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