不思議な力

5/10
前へ
/37ページ
次へ
  俺はびっくりして顔を上げる。 大柄男は右手を突き出しながら不敵な笑みを浮かべていた。 不気味なほど甘ったるい声で言う。 「こういうときはな、『どうもすみませんでした、許してくださいお願いします』って言うんだよ、お坊ちゃん?」 そう言うが早いか、大柄男はまた右腕を引き、俺に向かって右手を降り下ろした。 やばいっ……!! 俺はぎゅっと目をつぶった―― その瞬間。 体の奥底から、エネルギーが物凄いスピードで沸き上がってくるような感覚。 ――と同時に、そのエネルギーが肩、肘の内側を駆け抜けて一気に手のひらに集まっていき…。 思わず、無意識に、俺は絶叫する。 ――爆音。 大柄男が真後ろに吹き飛ぶ。 「ぐはぁっ…!!」 朦朧とした視界の中で、大柄男の呻き声が聞こえる。 見ると、大柄男が地面に無格好に尻餅をついている姿が目に入った。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加