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聞こえ始めたときと同じように、急に「声」は鳴り止んだ。
私はしばらく呆然としていた。
時計の秒針の、チッチッチッという音がやたらと大きく聞こえる。
もうそれ以上「声」は聞こえてこなかったが、身震いは止まらない。
私はこういう心霊現象の類いは、元々信じない質だ。
実際に起こる訳ないし、馬鹿馬鹿しいから。
でも……実際に自分に起こってしまうと、こんなにも怖いものだなんて……。
私は再び、ゆっくりと着替え始める。
もう大分経ったはずなのに、心臓は早鐘のように鳴っている。
でも、メイが待ってるから、早く行ってあげないと。
メイ……
さっきの「声」って、メイが思ったこと…とかじゃないよね……?
そんな突飛な考えが、頭から離れなくなっていた。
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