ーPrologueー

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  家の前に着くと、少年は少し息を整えてからそ~っと家の扉に手をかける。 こういうことは慣れてるが、やっぱりバレないように入念にやるに越したことはない。うん。 ゆっくりドアノブをひねる―― ガチャリと音が鳴る。 「うっ…!」 ったく下手くそだな、俺。 まぁ大丈夫、バレてないバレてない。 そして真っ暗な家の中に入り、電気は付けずにそのまま二階の自分の部屋へ。 ――行く階段を上がろうとしたその時、背後から母親の声。 「どこに行ってたの?シャード」 ひっ!! 俺、シャード=ランダーはギクッとしてゆっくり振り返る。 やっぱ聞こえたのかな?さっきの。 それかもしくは、とっくの前に俺がいないことに気付いて―― 「どこいってたの!?」 母の一喝に、とっさにリンゴを持った手を背中に回して隠す。 これだけはバレませんように!! これがバレたら長時間の説教は見えてる。 それにこれ、今日明日あたりの俺の夜食だし!!  
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