不思議な力

3/10
前へ
/37ページ
次へ
  『おはようシャード。 朝は適当に食べて、お使い行ってちょうだい。 買うものリスト下に書いといたから』 「えー、まじかよ」 俺は不満そうに呟いた。 うん、不満だ。 うんざり、てかげんなりした顔で、その紙の下の方を見る。 確かに食材やら日用品やらのリストが、母のこまめな筆跡で書いてある。 俺は顔をしかめ、食パンをトースターに突っ込む。 イライラしていたため、思ったより勢いがついてしまった。 「うわっ!?」 急にトースターから爆発音がして、火花が散った。 俺はとっさにしゃがみこむ。 なんだ!? もう音はしないので、恐る恐る顔を上げた。 パンは一気に真っ黒焦げになり、煙が出ている。 「ちっ」 なんだよ、強く入れただけでここまでなるかよ。 俺は忌々しさから舌打ちする。 真っ黒なパンを隅っこを持って取り出し、捨てる。 そして、買い物リストを引っ付かんで、何も食べずに家を出た。 やってらんねえよ、ったく。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加