Ep1.彼の日常

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  そこから地下鉄に乗り15分、降りて5分も歩けば20階建てのマンションがある。 建てられたのは10年程前だが外観や中のデザインは古くなく、近所の人からも掃除が行き届いて綺麗だと好評の高級マンションである。 そのマンションの17階、1702号室に、覇蘭は後見人と2人で住んでいる。 自室に鞄を置き、制服から部屋着に着替えてキッチンに行く。 今日の夕食は自分一人。余り物で簡単に作ろうか。 覇蘭の後見人とは彼の叔父であり、彼が通う高校の理事長をしている。 覇蘭は1歳頃から叔父と暮らしており、このマンションは叔父が理事長に就いた後に購入した。 叔父の肩書は理事長だが校長職もやっているので、家に帰るのは遅い。 その為、一切の家事は覇蘭が引き受けている。 始めは苦労したが、今では炊事洗濯掃除、どれも得意になってしまった。 夕食後はシャワーを浴び、髪を乾かしてから自室に戻る。 一息ついた所で、今朝の叔父との会話を思い出した。叔父は大阪に出張中だ。 (戻るのは明日か明後日だったか……) そういえば、先月は北海道、先々月は大分じゃなかったか……? と思い出す。 何故そう頻繁に出張へ行くのか? しかも遠く離れた他府県ばかりに。 疑問に思ったが、(彼の考える事は昔からわからなかったからな……)と納得して、提出期限の近い宿題に手をつけ始めた。  
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