壱・始之小戦

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「とはいえ……どうしようかな」  なにを言おうが彼らはまだ子供、やはり不安なものは不安だ。行くあてもなく、またどこに何があるかもわからない。 「とりあえず、まだ政府に見つかってない村を探そう。大丈夫、きっと見つかるさ」  アランはマーシャを慰める様に言った。その言を皮切りに、二人は村を背に歩き出す。もう戻れないと知りながら、遠くなっていく村を見ると足を出すのが躊躇われるようだった。  森を抜け、久し振りに浴びた太陽の光は、二人の体を明るく照らした。果たして先行きは光か闇か。  しかし、歩けど歩けど見えるのは緑の草原ばかり。空も暗くなってきた。  星が煌めこうが、それを綺麗だと感じ、感想を言い合うような余裕は無い。  視界は暗く空気も冷えて、穏やかな草原は黒き地獄へ変貌したかのような錯覚を覚える。これ以上歩くのは危険だとアランは感じた。 「今日はここで野宿にしようか」  二人共野宿が平気な訳では無いが、互いに心配をかけない様に、丈夫な振りをしているのであった。  夜空に浮かぶ満月が、異常な迄に明るかった。
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