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機械で溢れた街並み。
人工恒星『lion』から降り注ぐ太陽光は、熱量を持つが冷たい光。
此処は『mink』で一番大きな都市。
『本』で読んだ大昔の都市には名前もあって、移動も『車』とか『電車』とかがあったらしい。
今では遠距離の移動手段はDoorだけ。
専用のDoorを開けば次元の省略が行われ、目的地へ繋がる。
「何よりも『自然』とやらが全く見当たらないのですね」
いまボクは『暇』な時間を潰すために街を歩いている。
見渡せども見渡せども見慣れた風景。
ボクら『ヒトガタ』には『感情』と言う機能が付いていない。
本来ならば暇なんて感情も要らない。
『ヒトガタ』は『ニンゲン』の為に昼夜を惜しまず働くのが『幸せ』とやらだ。
「本当にボクは『ヒトガタ』なのでしょうか?」
考える機能が働きはじめたのはあの日以来。
一人の『ニンゲン』の少女を助けた日から。
ボクらは生まれながらに、人間でいう『成人』の『ヒトトナリ』である。
ある程度の知識は有しているし、『本』を読めば知識はより蓄えられていく。
今の姿形も、『本』を読み漁って手に入れた。
雑誌とやらに載っていたとある『先人』の男性が中性的で、少し判別に時間が掛かったが、中性的なスタイルがボクには何か訴えかけるようだったから、その様にしてみた。
肩まで伸びた左側の髪、コーンローとやら言う右側の髪。
一見してどちらかと言えば女性の様な『ヒトトナリ』になった。
そんなボクを見てあの人は呆れた顔をした。
『そんな古臭い格好のどこが良いの?』って。
ボクはどちらかと言えば古臭い思考の持ち主らしい。
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