プロローグ

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ただ、『ニンゲン』と違うのはその『感情』が酷く曖昧な事。 『ニンゲン』は何かの為に『泣く』事が出来るらしいが、ボクは出来ない。 『ニンゲン』と『ヒトガタ』の『ハザマ』で揺れ動く滑稽なモノであり、どちらにもなれない。 当然のように、曖昧な『感情』を持ってからは、今までの居場所に居続ける事は出来なかった。 『ヒトガタ』でありながら考える事を始めたボクはイレギュラーであり、この世界を統治している『イデアル』に追われる身になった。 あの人は自分に原因があるとボクに付いてきた。 『ニンゲン』、『イデアルリーダーの娘』と言う、この世界で最高の地位に居ながら、周りの環境が嫌いになったそうだ。 ボクには良く分からないが、多分『アホ』と言うのだろう。 『本』で読んだよ。 ボクには関係が無いから構わないと言った。 今となれば、あの人が居なければすぐに死んでいたと思うから、『ハザマ』なりに『感謝』している。 暇を潰す為に考え事をしていたら、彼女が大量の食材を両手に持って戻ってきた。 因みに『ニンゲン』も『ヒトガタ』も食べるモノは同じ。 ただ、『ヒトガタ』は新陳代謝機能が強化されており、少ないカロリーで『ニンゲン』の10倍程の活動が可能になっている。 きっとボクにもまだ分からない事が隠されているのだろう。 全てを知ったらボクは何を求めるのだろうか? それとも知る日は来ないのだろうか? 「ちょっとリオン!! アナタ、こんなに可愛い女の子が重たい荷物持っているのになんで助けようとしないの!?」 あぁ、やってしまった。 『ニンゲン』の男性は女性には『優しく』、『慈しんで』接するべき、とこの人が言ってたな。 『ヒトガタ』と言う事が周りにバレない為にこの人は『怒った』振りをして俺に伝える。 やはり、羨ましい。 自然にその様に振る舞えるキミたち『ニンゲン』が。 ボクみたいに『意識』して振る舞う『ハザマ』では、偽りでしかないんだ。
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