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「はっ、柱、折れるぞ!?」
裏返った声で、ヒステリックに叫ぶ。
竜牙が心配していたのはこの建物の寿命、直結して、即ち自分自身の命の危惧だった。
爆風を何度も直撃した巨大な柱の一本が、ミシミシと嫌な音をたてている。
次もう一度でも衝撃を受ければ、確実に折れるだろう。元からとんでもなく古い建物なのに、こうも立て続けに攻撃された上、大きな柱でも折れれば、倒壊必至――。
ず……バキバキ……ずうぅん……――
何かが折れる乾いた音とともに、また派手に風が吹き荒れる。
「姉さん!――幸姉、聞いてんのか!!?」
と、次の瞬間。
ヒュン
何かが、竜牙の首筋を掠めて、
――ボゴン
遥か彼方のカベに突き刺さる音が、した。
「っ……!?」
知れずしゃがみ込む竜牙に、追い撃ちは前方から。
「っるさいなぁ、分かってるよ!!」
五十メートルほど先の盛り上がったコンクリートの上に、仁王立ちのシルエットが浮かび上がった。
スタイル抜群の、長い手足に、引き締まった身体つき……
竜牙の姉、幸は長い細腕には不釣り合いな巨大な銃器をぶんぶんと振り回した。
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