637人が本棚に入れています
本棚に追加
基也に意地を張ってしまった優は自分に苛々しながら校舎を勢いよく歩いていた。
優「もうっ私の馬鹿!基ちゃんの馬鹿!」
考えたってしょうがないんだよ!くだらない考えだし!一人勝手に寂しくなって、へこんでるだけ!
ぐっと両手を握り締めて、優は歩いていた廊下を止まった。
優「ああ……ほんと馬鹿」
廊下を楽しそうに歩いて、目の前を通り過ぎていくカップルに優は寂しそうな視線を向けた。
私だって、いつも基ちゃんと一緒にいる。
でも基ちゃんが卒業することが今から寂しいなんて……。
こうやって楽しいことがあると、必ず寂しさも一緒になってついて来る。
一年だけでも一緒に過ごす時間が無いなんて寂しい。別々の時間を違う場所で過ごすことが嫌……。我が儘だろうと嫌なものは嫌……。
基ちゃんが三年生になるといつも悲しくなる。だから私の気持ちなんか基ちゃんにはわからないよ。
悔しそうに優は瞳をぎゅっとつぶった。
「あれ、河合?大塚達いた~?」
俯いていた優に明るい声が優を呼んだ。
優「中島君……」
パタパタと小人姿の可愛いらしい直人が駆け寄って来た。優の前に立つと直人は眉間にシワを寄せた優を不思議そうに見た。
中島「あいつらが見つかってないから不機嫌?あれ?副会長は?」
キョロッと直人は優の背後の廊下を見た。
最初のコメントを投稿しよう!