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中島「こうしてる間にも副会長の時間も戻らないんだぞ。大切にしてあげろよ。先に卒業して寂しくなるんだから」
不機嫌な優に、口を尖らせて直人は言った。
優「え?」
優は直人の言葉に戸惑って軽く聞き返す。
中島「だって、卒業したら未知な場所へと一人で進むんだよ?頑張れる為の力、三年生に俺達が与えてあげなきゃ。そのために河合も副会長といるんじゃないの?」
それが当たり前かのように直人は優に尋ねた。優はスカートをキュッと軽く両手で握った。
優「中島君……あんた生徒会長になること自信持っていいよ」
中島「え……そうかな?ありがとう」
照れ臭そうに直人はトンガリ帽子を被ったままで頭を摩った。
優「やっぱり仲直りしてくる」
基也の元へ行こうと少し焦り始めた優は、照れる直人の横をもう一度通り過ぎる。
中島「うん。あ、ちゃんと二人も捜せよ?あの二人が居れば予選通過当たり前なんだから」
優は返事の代わりに大きく手を振りながら基也へと走って行った。
優の後ろ姿に直人は困った顔で溜息をつくと、ゆっくりと踵を返して軽い足取で歩いて行った。
考えてもどうにもならないことはわかってる。
でもだからこそ私と同じくらい寂しく思ってくれる?
いつも冷静で優しい基ちゃんだから、気づかない内にいつも我が儘になってる。
一緒にいるんだから私の想いに気づいてるよね?って。ごめんね、基ちゃんの想いは無視してた……。
私よりも先に前に進む基ちゃんが寂しく感じていても、私は基ちゃんの寂しさをちゃんと埋めてあげられるかな……?
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