epilogue1

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十月。秋らしい陽気で爽やかな風が吹いている中、本日から明日にかけて、桜学園が最大に盛り上がるイベント、文化祭が執り行われる。 普段ふざけあう生徒会メンバー達も今日は真面目に、何事もなく文化祭運営が出来るように真剣に見回り、滞りなく楽しんでいるか、不備等は無いか、などチェックしていた。 ただしとてもメルヘンで愛らしいコスプレをしたままで。 「う~ん、ここにも居ない」 各教室を滞りなく見回りをしているはずの、愛らしい生徒会メンバーから悔しそうな声が聞こえる。 「コラコラ、大塚と貴志、捜しじゃないぞ」 一緒に見回りをしている、デカイ生徒会メンバーが冷静に声を出す。 優「だって基ちゃん。もうすぐお昼だよ?早くしないと、一時からの萌えキュンコスプレ大会予選に間に合わないよ~」 のんびりと歩く基也の袖をクイクイ引っ張りながら、優が基也を急かす。 基也「何処に隠れてるかなぁ?」 被っていたトンガリ帽子を頭の後ろにずらして、基也は両手で首元の紐を緩める。 優「ねぇ~何処にいるんだろ。二人一緒なのは確実だよね。美花が携帯の電源切ってるのも新城君からの指示だよ、絶対」 う~ん、と唸りながらトンガリ帽子を被っている優は可愛らしく腕を組む。そんな何気ない仕草の優に基也はいつものようにキュンと胸がときめく。 基也「優ちゃん、好きだよ」 そう言って、組んでいる優の手を解いて左手を握る。 優「え……何、突然?」 戸惑って恥ずかしそうに優は基也から手を離す。 廊下を歩く二人に好奇の眼差しを向ける生徒達の視線が気になるのか、優は足早に歩き出した。 基也「優ちゃん、つれない……」 離された手を見つめながら基也は寂しそうに言った。 あまり表に感情が現れない基也だが、今日は文化祭のお祭りムードに触発されてテンションが高いのか、いつもより正直に感情が出ている。
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