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冴島「優ちゃんが気づく邪魔しちゃダメだよ、基也。じゃあまた後でね」
そう言って豊と明美は屋上を出て行く為に基也に背を向けた。
基也「なぁ、豊。タバコ持ってないか?待ってる間、手持ち無沙汰」
静かな口調で基也が当たり前のように豊に尋ねた。
冴島「あのねぇ……僕は生徒会長だよ?悪い道具は学校には持って来てません。寝てなよ」
バツが悪そうに豊はゆっくり振り向いて、右眉を寄せる。
基也「フッ……会長は大変だな」
面白そうに基也は軽く微笑んで、もう行けよと豊と明美を手で払った。
相葉「谷本君は副会長よ~?」
出入口で明美が明るく大きな声で基也に伝えると、豊と明美は顔を見合わせてクスリと笑い屋上を出て行った。
二人を見送った基也は、何もすることがなく、ぼーっと爽やかな青空を見上げる。
基也「喧嘩してる場合じゃない……か」
だったら俺もここに居ないで優ちゃんを捜しに行く方がいいんじゃないか?
豊に居ろと言われたが、やはり落ち着かなくなって基也は腰を浮かす。
基也「……でも、すれ違ったらそれこそ時間が勿体ないな」
溜息をついて基也はもう一度座り直し、優が戻ってくるのを待つために寝転ぶと目を閉じて、秋の日差しを感じていた。
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