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のんびりとしたスピードで走っていた車だが、だんだんと遅くなっていった。
「マスター、そろそろ充電が切れそうなんだけど…」
不安げな少年の問い。
「そのようですね」
マスターと呼ばれた青年の素っ気ない答え。
やがて本当に車は止まってしまった。
「あ~、いくら1時間の充電で3時間走れるだけの電気を作れる高性能ハイパーソーラーパネルでも曇り相手じゃ無意味だよ~」
多少長めの文句を述べた少年はそのままぐたっとハンドルに乗っかかった。
「天気に文句を言っても無意味ですよ。今日はこの辺りで野宿にしましょう」
相変わらず落ち着いた様子の青年は、車から降り、外を見渡した。少年も降りて青年の横に並んだ。明らかな身長差があった。
「って、マスターは一番好きな天気は曇りだったよね。晴れのように眩しくなく、雨のように歩くのに困らない程よい天気。色もマスターの名前と同じ"グレイ"だし」
「よく覚えてましたね、"ルカ"」
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