帰ってきた「星姫様」

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「ふぅん、最近の新入生は大人だね」 ニコニコしながらそう言う会長さん。 皮肉ですか。せめてバカだと言ってください。主に聖奈に。 でも会長さんが言っても説得力ないか。この人も可愛いバカだもん。 「あ、それとね? これ一応、名目は反省会ってことになってるけど、本当はただの親睦会みたいなものだから」 「親睦会……ですか?」 「うん。君たちが少しでも学校の皆と打ち解けられるようにね。あんな事があったら、学校に居づらくなるでしょ?」 確かに、物珍しい目で見られるのは困る。 ただでさえ目立つのは嫌なのに、大勢の前に無理やり引っ張り出されたんだ。 それでもさすがに入学初日から不登校を決めるってところまでは踏み切らないつもりだったけど、やっぱり学校には居づらくなる。 「だから、私が協力してあげる」 「協力?」 「まぁ、協力って言っても、相談に乗るくらいなんだけどね?」 大して力になれなくてゴメンね、と、申し訳なさげにはにかむ会長さん。 なんだ、その可愛らしい仕草は。 心の中でバカって言ったことを全力で謝りたくなってきたじゃないか。 「いつでも相談にのるからね? 何かあったら私の教室に顔だしてくれたら……あ、私の教室、2年5組だから覚えておいてね?」 一年の男子が会長を訪ねて二年生の教室に現れるってのは……マズイよな。絶対殺される。 「あれ? 生徒会長って普通3年生が担う役割ですよね? さっき2年って言いませんでした?」 「うん、私2年生だよ。あ、そっか。生徒会長って3年生のイメージが強いもんね。なんか、多数決で生徒会長になっちゃったの」 あぁなるほど。その美貌なら、多数決でも圧勝だったんだろうな。 「凄いですね……それはそうと、これが反省会じゃないってことは、俺たちおとがめ無しって事なんですか?」 忘れかけていた話に戻す。 そもそも、俺が生徒会室に呼ばれた理由があの件の懺悔ではないのなら、その処分はどうなったのかすごく気になる。 「おとがめ無し、だよ。それなら私の挨拶だって酷いもんだよ。大勢の前だと台詞忘れちゃって、思い浮かんだことしか喋れなくなっちゃうんだ、私」 じゃああの時の台詞は、会長さんの頭に駅前のコンビニの欧風チーズ入り激辛キーカレーまんが浮かんだからってことなのか。 会長さん……本当にテンパってたのかな。
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