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当然といえば当然なのだろうが、この二人の登場によって会場の空気は再び騒然となった。
理由は人それぞれだろう。
会長に次ぐ美少女が現れた! とか、あるいは黒髪の突拍子もない行動に驚いた!とか、そんな程度だ。
しかし、見れば見るほど似てないな、あの二人。
てっきり双子かと思ってたから、体型やら髪の色やら、相似するものが一つや二つあるものかと踏んでいたんだが、どこを見てもそんなものはない。
しかしながら、苗字の件は偶然にしても、遠目から見たやり取りからして、明らかに他人という雰囲気ではない様子。
ふむ……謎だ。
「こほん。え~、初めまして。新入生代表の榊原聖奈です。んで、隣にいるのが同じく新入生代表の榊原由夜」
ちょっと雑な感じに紹介された金髪美少女こと由夜さんは、一歩前に出て軽く会釈した。
あの人はなぜか、名前をさん付けしたくなる。むしろしなくちゃいけない気がする。
それにしても由夜さん、自分の名前を雑に扱われたことに関しては、あまり関心がないらしい。
「ん、そうだ。この際だから事前に宣言しておくのもいいわね」
黒髪美少女こと、聖奈は唐突にそういって、辺りを無表情でキョロキョロと見渡している。
何をする気だ。
はっきり言って、お前の目からは悪い予感しかしないぞ。
「えっと、確かあたしと修司のクラスは……あ、いた!」
目が合った。
途端に、ニパッと笑顔になったかと思うと。
「とうっ!!」
飛翔した。
今度は自覚があったのか、片手でスカートを押さえていたため、舞い上がることはなかった。
そのまま、ダダダと駆けてくる。
そして、ダン!! と歩を止めた黒髪美少女の目の前に、うつむく俺の姿があった。
「修司……よね?」
ヤバい、全校生徒が俺に注目してる、チキンだってバレたらどうしよう、いやそれよりも俺こんな美少女知らねぇ!!多分!
「は、はい、修司、です……っておあぁっ!?」
俺が肯定するや否や、聖奈は俺の手首をわしづかみにして、来た道を一直線に逆もどりした。
俺……なんか悪いことしたのかな?
そうでなければ、速急に帰りたい。
皆の好奇の視線が痛い。
恥ずかしすぎてリアルに死にそうだ。
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