帰ってきた「星姫様」

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「それでは、本年度の入学式について、我々生徒会で“反省会”を行いたいと思います」 場所は変わって、生徒会室。 そうだな……あれからの経緯を簡単に説明しよう。 あの場は、誰かさんの計らいによってとりあえずお開きという形で、何だか妙な空気のままそれぞれの教室に戻る流れとなった。 聖奈と由夜さんは、成績優秀者ということもあって、生徒会と一緒に入学式をふり返る、つまりは反省会のようなものに同席する義務があるらしい。 今さらだが、由夜さんはともかくとして、聖奈が成績優秀者って……キャラ的にどうなんだろう。 ポジション的に馬鹿キャラっぽいんだけどなぁ。俺と一緒で。 俺には全く関係のない話はずだったのだが、なぜか今回の反省会は俺も同席しなければならないとのこと。 「えっと、まずは……沢宮修司君、初めまして。生徒会長の泉谷千鶴です」 「ど、どうも……」 そして、血気盛んな上級生(主に男子)を大いに盛り上がらせた泉谷千鶴さんが今、とびっきりの笑顔で俺に自己紹介をしてきたのだ。 この学校でこの生徒会長のことを知らない人はいないだろう。 言うまでもなく自己紹介なんてされなくても知ってるんだが、一応、初対面だ。 生徒会長として、礼儀を欠かしちゃマズイもんな。 知名度といえば、俺のことを知らない人もいないんじゃないかな……。 だって公然の前でキスだぞ? あの騒ぎで、俺がこの人と肩を並べるほどの有名人となってしまった(かもしれない)のも事実。 その証拠に、俺は自分の名前を明かしてもないのに、生徒会長に名前を知られてしまっている。 この分だと、聖奈や由夜さんなんかはそれ以上のインパクトを持っていそうだ。 みんなの前で堂々と許嫁宣言したあげく、唇まで押しつけてきた黒髪美少女に、同じく淑女宣言をした金髪美少女。 多分、こんなにも品がない入学式は、創立以来初めてなんじゃないかな。 そういうわけで、どうやら事の発端であるらしい俺は、今回の反省会において最も反省すべき対象としてここに呼ばれた、みたいなところだろう。 ……ひじょうに、理不尽な結末だ。
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