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「ところで……」
会長が何やら言いづらそうな表情で俺と聖奈を交互に見る。
「二人の関係は何となくわかったんだけど、その……そちらの方は?」
千鶴さんの視線をたどると、聖奈のとなりでニコニコしながら座っている、金髪碧眼の巨乳美少女がいた。
榊原由夜。
俺は由夜さんと呼ぶことにしているが、そういえば俺もこの人の事をまったく知らない。
俺は説明を求めるべく、視線を聖奈に向けた。
「あぁ、由夜のこと? んー……私専用のメイドよ」
「メイド?」
「そ、メイド。私の身の回りの世話をしたり、護衛したり……」
おいコラ。なんだ護衛って。ずいぶん物騒な響きじゃねぇか。
「姫様。この機会に、皆様に自己紹介をしてもよろしいですか?」
と、由夜さん。
この部屋に来てから初めて喋ったんじゃないかな、この人。
それにしても綺麗な声だ。聞いてるこっちがくすぐったくなってくる。
「そうね。そのほうが手っ取り早いわ」
特に迷うこともなく聖奈がうなずくと、こほんと咳払いをした後、由夜さんはおもむろに立ち上がった。
余談だがこの人、足が長いせいか身長が高く見える上に姿勢がいい。
つくづく綺麗な人だと見惚れていると、目がつり上がった聖奈に一睨みされたが、こればかりはどうしようもない。
「初めまして、榊原由夜と申します。先ほど姫様が申しました通り、私は姫様専属の世話人であり、護衛でもあります」
うーん……やっぱり気になってしまう。
「姫様」と「護衛」。この2つの響きって、どう考えても貴族のイメージが強い。
やっぱりそういう家系なのだろうか?
だとしたら俺って逆玉とかいうやつなんじゃないのか?
……いや、まさかな。
「しかしこの星……あ、いえ、この学校では、一人の生徒として生活をしていきたいと思っています。何卒、よろしくお願いいたします」
由夜さんが着席すると、聖奈は満足そうに頷いていた。
……肝心な事を聞けなかったような気もするが、まぁたかが自己紹介だ。
今は、深く追及はしないでおこう。
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