帰ってきた「星姫様」

15/50
前へ
/55ページ
次へ
「ところで……」 会長が何やら言いづらそうな表情で俺と聖奈を交互に見る。 「二人の関係は何となくわかったんだけど、その……そちらの方は?」 千鶴さんの視線をたどると、聖奈のとなりでニコニコしながら座っている、金髪碧眼の巨乳美少女がいた。 榊原由夜。 俺は由夜さんと呼ぶことにしているが、そういえば俺もこの人の事をまったく知らない。 俺は説明を求めるべく、視線を聖奈に向けた。 「あぁ、由夜のこと? んー……私専用のメイドよ」 「メイド?」 「そ、メイド。私の身の回りの世話をしたり、護衛したり……」 おいコラ。なんだ護衛って。ずいぶん物騒な響きじゃねぇか。 「姫様。この機会に、皆様に自己紹介をしてもよろしいですか?」 と、由夜さん。 この部屋に来てから初めて喋ったんじゃないかな、この人。 それにしても綺麗な声だ。聞いてるこっちがくすぐったくなってくる。 「そうね。そのほうが手っ取り早いわ」 特に迷うこともなく聖奈がうなずくと、こほんと咳払いをした後、由夜さんはおもむろに立ち上がった。 余談だがこの人、足が長いせいか身長が高く見える上に姿勢がいい。 つくづく綺麗な人だと見惚れていると、目がつり上がった聖奈に一睨みされたが、こればかりはどうしようもない。 「初めまして、榊原由夜と申します。先ほど姫様が申しました通り、私は姫様専属の世話人であり、護衛でもあります」 うーん……やっぱり気になってしまう。 「姫様」と「護衛」。この2つの響きって、どう考えても貴族のイメージが強い。 やっぱりそういう家系なのだろうか? だとしたら俺って逆玉とかいうやつなんじゃないのか? ……いや、まさかな。 「しかしこの星……あ、いえ、この学校では、一人の生徒として生活をしていきたいと思っています。何卒、よろしくお願いいたします」 由夜さんが着席すると、聖奈は満足そうに頷いていた。 ……肝心な事を聞けなかったような気もするが、まぁたかが自己紹介だ。 今は、深く追及はしないでおこう。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

142人が本棚に入れています
本棚に追加