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この世界は落下直前。
もうすでに堕ちてしまった国もある。
だけど世界は冷たくて、そんな国に手を差し延べることもしない。
「ココから落ちたら、死ねるかなぁ……」
起き上がって、アタシはふと呟いた。
フェンス越しに見える、灰色のコンクリート。
「死にたいの?」
和樹は不思議そうにアタシを見て言う。
そんなにアタシは悩みなさそうに見えますか。
「さぁ?どーだろーね」
ちょっとムカついたから、意地悪く笑ってみせた。
「こっから落ちて、頭打ったら死ねるんじゃない?」
……あっさりスルーしやがった、コイツ。
「けど……」
和樹はそう言って、困ったように笑った。
「由梨が死んだら、俺が困るんだけどなぁ……」
ポツリ、和樹がこぼした言葉。
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