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私は小さな花の若葉です。両親から離れて直ぐ、種の頃に強い風にでも吹かれたのでしょう。遠い星から飛んできました。そしてたまたま、この小さな星に根を付け、同時にここが私の住みかとなりました。私が選んだわけでもなく、全くの偶然です。しかしここは、私が生きていくのに必要な太陽の陽射しにも雨にも恵まれていて、私はすくすくと育ちました。
そしてある秋の晴れた朝、私にも小さな花が咲きました。私は桔梗でした。薔薇の様な気高い香りも、豪華さも、棘さえもありません。紫色の、薔薇に比べたら影も形もないほどの地味な花です。
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