星の花【第二夜】

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私は小さな紫色の花を咲かせました。しかし、なぜかいつもうつ向きかげんに咲いていました。 ひまわりのように、太陽に向かい顔を上げる事が、私にはどうしてもできません。 私は私。桔梗として凛と生きようと心に決め、毎日を過ごしました。 でも、せめて桔梗の中では一番美しい桔梗になりたい。そんな気持ちがいつしか私の中に芽生え、消す事ができません。その欲望を満たす為に私は自分なりに努力もしました。今思えば必要以上にがんばっていました。 そして桔梗としては珍しく美しい花へと成長することができました。 時には、他のもっと派手で高価な花と間違えられる事もありました。 そのたびに私はさらに自分磨きをがんばりました。 しかし、私の両親も地味にひっそりと咲く桔梗。 鳶は鷹を産まないしカエルの子供は所詮カエルなのでしょうか? 私は無理に無理をかさねて、美しい桔梗になっていたのです。 その事に自分が気付いた頃には、私の根は土からの栄養を摂取できないほど疲れきっていました。
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