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疲れ果てた桔梗は思いました。
『このまま枯れてしまいたい』
しかし、桔梗の住む星は太陽にも雨にも恵まれていたため簡単には枯れることができません。
隣の星に咲いていた撫子さんはとても可愛らしく、可憐だったのにある日突然枯れてしまった…。私はこんなに疲れて花びらもクシャクシャなのに枯れる事ができない。なんでなの?…桔梗は神様を恨みました。
ある日強い風が吹いていました。朝からずっと風は止むことなく、桔梗の茎も強い風で傾き地面に花が触れた時、地面はとても冷たくてうっすらと雪さえ積もっていました。
ああ、地面は冷たいけどこのまま横になっていたら明日の朝には枯れることができるかも…。
桔梗はそう思いながら、いつしか眠りにつきました。
明け方でしょうか?まだ太陽の登る前に、桔梗はふと目を覚ましました。
懐かしい香りがする…。
気が付くと桔梗のうえに数枚の葉が被さっていました。かさかさの葉は、まるで柔らかい布団の様に桔梗の上に覆い被さっています。そして葉の上には粉雪が積もっていました。
そう、桔梗はどこかから飛んできた葉によって凍えずにすんだのです。
桔梗は起き上がり葉に積もった粉雪をはらいました。その時桔梗は気付いたのです。この懐かしい香りは母の香りだと。
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