雨の日のマッドハプニング

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「毎度ありがとね~」 店員のおばさんが笑顔で手を振る。 「ども」 俺も笑顔で買った本を受け取った。 この本屋は俺が学校帰りにしょっちゅう来てるから、おばさんも俺を覚えてくれて、仲良くしてくれている。 この前も、10%offの券をサービスで5枚くれたりした。 紙袋に入った本を抱えて、いつもの帰り道を歩く。 ふと、顔に何かが落ちた。 雨だ。 天気予報は、今日は当たったらしい。 傘を持ってきていて良かった。 傘をさして、紙袋を持ち直す。 やがて、横断歩道にたどり着く。 信号はまだ赤だ。 今日は人が少ないな、そう思って辺りを見回してみる。 黄色い傘が目に入った。 小学生の男の子が二人、楽しそうに笑いながらやってきた。 あぁ、俺にもこんな時代があったな……。 なんだか少し懐かしくなって、俺の顔も綻んだ。
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