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街の静寂がこれ程煩わしいとは初めて知った。
脈打つ心音は場を弁えやしない。
狂ったリズムが体内で疼く度に、吐き気を催す息切れが静寂に響き渡る。
また一つ、近くで銃声が一音。
遠くへどこぞの誰かを連れ去る弾丸による鎮魂歌と、そいつを乱す男の叫び声が夜に吸い込まれた。
確実に死んだ。間違いない。保証する。なんなら保証書に署名もしてやってもいい。
さらにもう一発。今度はさらに近い。
また一人。
テンゴク
硝煙に巻かれて遠い雲の上につれていかれた。
あぁ……いや、それはねぇな。
なにせこの街で歩いてる奴らのほとんどは、天使に愛想つかされて、地獄の悪魔共と婚約しちまった落ちぶれ共。
クソの掃溜めみてぇな街だ。
故に、今天国に上り損ねた奴の事なんて知った事ではない。
今死んだのは、そいつのせいだ。
そいつとは撃たれた奴の方。
撃った奴に罪なんて無い。
ルール
それが、この街の法則だ。
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