闇夜の演劇場

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だからこそ俺だってやっていけると思って、ここに来た。 そして、この5年は思惑通りに事は運んだ。 それなりに名前も売れた。 それなりの収入も得れる。 それなりでも顔は利くさ。 そんな俺は今日も仕事で、いつも通りにバカ共を相手にする。 舞台は、町外れの船着場だ。            ボス 何を考えたか、自分達の親父から、このネバーランドを語るにいたっては、無くてはならない必需品。飛びきり高値で売れる上に、吸い込めば空だって飛べちまう魔法の粉をごっそりとちょろまかして、こんな深夜に舟に乗って逃げ出そうとした、バカ野郎共がいる。 この狂った夢の街から、魔法の粉だけ頂戴して現実の世界へ飛んで逃げようとする輩は、後をたたない。     オイタ      クソガキ そんな法則無視の過ぎるバカ共の掃除が俺の今夜の仕事だった。 だから当然のように俺は銃を手にした。 この街でコレを持ってない奴はただの脳無しで、撃てない野郎は玉無しでしかない。          スリルジャンキー それか死にたがりのドM野郎だ。 なにせ生まれたばかりのガキですら男なら弾ぐらいは持ってる。 お出かけの時に子供がパパから貰うのは、菓子が買える程度の小遣いと、護身用の小型銃と弾。ママから教えてもらうのは、相手の心臓を撃ち抜くホットな投げキッスの撃ち方。 そんな奴らが育つ街だ。 だからこそ誰もが当たり前だと銃を持つ。 そう――――。俺だってそうさ。 ごく自然にポケットには弾丸。 ごく必然にベルトにはマガジン。 ごく当然にブーツには投擲ナイフを仕込んである。 着込んだジャケットの下、シャツの上にはホルスターを掛けてある。
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