闇夜の演劇場

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…………いや訂正、7体と3人だ。 7体は既に人じゃない。アレは物だ。人の形をした物。 いや……既に人の形すらかたどっちゃいない物もある。 なにせ、腕が無い。足が無い。首が無い。こいつはもう既に人とは呼べない。 熱くなったコンクリートの地面に突っ伏して、燃えている奴もいれば、まだ呻く奴が…………――いた。 過去形だ。 炎と傷は人をすぐに過去形にする。 明るすぎる炎の会場に立っているのは、俺を含めてわずか4人。 銃を構える男が三人。 一人は片手で銃を構える俺。 もう二人は今夜、俺に仕置きされるはずだったバカ共である、男が二人。両手でしっかりと相棒を握り締め、震える銃口を……向けている。 俺はその先へと視線を飛ばした時。 ――やはり、目を疑った。 ここは世界で一番ぶっとんでいる街、ネバーランド。そしてここは入場制限の引かれた夜の世界。寂れちゃいるが、立派な殺戮舞台の会場。 今夜の主役は俺、敵役はガキ共。観客は餌ができあるがるのを待つ獰猛なカラス達。 叫び声という拍手喝さいを浴びながら、今日も俺の指先が弾丸を放ち、舞台を彩って幕を引く。 そんなプロットだった。 そんな筋書きだった。
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