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お前はまだ若い。
こんな自分より10才も年上の男なんかに縛られないで、もっと自由な恋愛をして欲しい。
こんな、人前でキスも出来なければ手も繋げないような関係。
何のプラスにもならない。
何の意味もない。
それでもお前を突き放せなかったのは、俺のエゴでしかない。
ごめん、葵。
もう終わりだ。
「お前が俺を助けられることなんて何もないんだよ。お前のために言ってんだ。もう俺のことは…」
「…俺のため?」
「…そう、お前のためだよ。」
「…自分のためでしょ?」
「…は?」
「哲が何考えてんのか知らないけど、哲は自分が罪悪感感じたり、めんどくさい思いをするのが嫌なだけでしょ。」
「…違う。俺はお前に幸せになって欲しいと思ってる。」
「…幸せ?なんで俺の幸せを哲が決めんの?…俺の幸せは、哲の側にいることだよ。俺に幸せになってもらいたいなら、哲が叶えてよ。…哲しか叶えらんないんだよ。」
そう言うと葵は急に立ち上がって俺の前に立ち、俺の足と足の間に右足の膝を立てて俺の両側のベンチの背もたれを掴んだ。
「ねぇ哲、お願い…。俺を選んで。…俺、哲が思ってるほど子供じゃないよ。」
そう言って葵の顔がそっと近づき、冷えた唇が俺のそれに重なる。
熱い舌が俺の口内をゆっくりと舐め回し、酔いはすっかり醒めたはずの頭がくらくらする。
唇から葵の熱が伝わって、体中が熱くなるような気分。
いつのまにか俺の腕も葵の背中にまわっている。
死にそうに熱いキスと甘い告白。
唇を離したら
どんな仕返しをしてやろうか。
END
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