最終章 to the city

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雑踏 駅から吐き出される人ごみ。足早にどこかへ流れていく。それはまるで蜘蛛の子を蹴散らすように。電車が到着するたびに吐き出される人の山は、心臓から押し出される血液のようでもある。 「おはようございます。これから向かいますので、はい、よろしくお願いします。はい、失礼します、はい…。」 「おはよー。うん、今、~駅。もうちょっとで着くから、うん、そこで待ってて。うん、じゃーねー。」 「コツコツコツ、カッ、コツコツコツ…。」 「そんで昨日さー、チョーウザくってぇ、シカトしちゃったぁ。」 “美し…もないこの光景に埋…れて、毎日を繰り…すことになぜ疑…を感じないの…ろう。” “光…空か…降…そそぐ…に……下ばかり…て歩…る。” “電車…止…こと…もう忘……。” “………………。” もう私の声はでない。いや、出ないんじゃない。自分の声が聞こえなくなってしまった。姿さえもだんだんと薄れていく。雑踏の中に埋もれ、溶けていく。 そう、私は思念の塊。実体はない。雑踏の中では雑念が多すぎて意識を保てない。 人並みに乗り、風に乗り、あらゆる風景を目に写し…。 人が眠り、街が静まる頃に、また私は現れるかもしれない。
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