3635人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
その日は、空が泣いていた。
その日は、少年が立っていた。
少年の周りは、少年よりも歳が上の人がいた。
不良に見える者。
極道に見える者。
だが、一つだけ同じなのは、その不良や極道たちは皆、顔に笑みを浮かべていた。
少年に向けて、年下の少年に向けているとは思えない、敵意に満ちた笑み。
「……」
だが、少年は顔色一つ変えず、まるで人形のように無表情だった。
「覚悟はいいな?クソガキ」
「俺らの舎弟に手ぇ出したんだ。
それなりの仕置きは覚悟しておくんだな」
「……」
目に入る人たちから聞こえる言葉に耳を傾ける少年。
だが、その言葉はどれ一つとして少年の頭には入っていなかった。
(つまらんなぁ…)
少年の頭に、ただ一言だけが浮かんだ。
「ボケッとしてんじゃぁ…ねぇよ!」
少年の後ろから一人の男が片手に鉄バットを持ち、少年に突っ込んだ。
「……」
まるで動かない少年に、何の障害もなく、鉄バットは頭を打った。
「……」
鉄バットが頭に勢いよく当たったにも関わらず、少年は少しふらついただけで、倒れはしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!