初拳・血に泥の五月雨

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「な、何なんだよ…このガキ…」 バットで殴り付けた男は、顔に確かな怯えを浮かべていた。 「…なぁ、オッサン等に、一つ聞きたいことがあるんやけど?」 頭から血を流す少年に周りの人たちは寒気を感じた。 「これは…ケンカか?」 「……」 その場にいる者は、誰一人として少年の質問に答えなかった。 「なんや? 誰も答えてくれへんのか?…せやったら、しゃ―ないな」 何を思ったか、少年はバットで自分の頭を打ち付けた男に近づき、 「ぶはっ!?」 おもいっきり顔面を殴った。 「誰も答えてくれへんから、勝手にケンカと判断させてもらうわ」 団体のように固まる人の中央を見据え、少年は…笑った。 無表情で人形みたいだった顔に、初めて出てきたのは、あまりに凶悪な笑みだった。 「……アカン」 そんな一言を漏らした少年の足元には、男たちが倒れ伏していた。 「ぅぅ…」 「あが…」 倒れ伏す男たちの口から漏れ出す言葉。 そのどれもが、周りに起きた惨劇のひどさを物語っていた。
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