初拳・血に泥の五月雨

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口から血を出している者。 腕がおかしな方向に曲がっている者。 前歯を折られ、悲痛に顔を歪ませる者。 倒れ伏す男たちの誰もが、無傷では済まないケガや打撲、骨折に声にならなら声を上げていた。 「……」 そんな男たちを見下すような目を向ける少年。 少年の顔には、さっきまでの凶悪な笑みはなかった。 代わりにあるのは、まるで壊れたオモチャを見ているような目だった。 「なぁ…これで終わりか?」 手近なところにいた男に声をかける少年。 だが、返事は返ってこなかった。 「なぁ…なんか言えや? つまらんやろう、が!」 「グフ!」 男の腹に蹴りを入れ、少年は舌打ちをした。 「た、頼む…カンベンして、くれ。 もう…あのガキに…手出し、しねぇから…」 許しを請うように、必死に言葉を出す男に、少年は、冷めきった目を向けた。 「アカンなぁ。 そっちから手ぇだしといて、あげくは勝手に手ぇ引こうって?」 少年は倒れ伏す男の胸ぐらを掴み、持ち上げた。 「ぐっ…」 「笑えへん冗談や」
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