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「あんたの父ちゃん母ちゃんはこいつらにいろいろやられてきたんやろ?
それで俺に助けを求めた。
ちゃうか?」
「……」
少女の言葉が返ってこないのを見た少年は、口の端を吊り上げた。
「こいつらには、少なくともあんたやあんたの両親と同じくらいの苦しみや痛みを教えてやらなきゃダメや。
せやないと、こいつらはまた同じことを繰り返す。
せやから…」
再び拳を構える少年。
「こうするんや」
笑っていた…
少年は暴力を楽しむかのように笑っていた。
そんな少年が打った拳は、男に当たる……ことはなかった。
「!」
腕を止められたわけじゃない。
拳を止めたわけは…
「…なんのまねや?」
「……」
少年の腰辺りにしがみ付くように、少女が少年を止めていた。
だが、その少女の手は、あまりに弱々しく、振りほどこうと思えば、簡単にほどけそうなほど小さかった。
しかし、少年には、振りほどくことが出来なかった。
「…うぅ…ごめんね…ごめんね…」
少女は、泣いていた。
泣きながら、少年に謝っていた。
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