浅井凌の事情

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翌朝、一睡もできなかった彼は日が昇る頃には身仕度を始めた。 鏡と『モテる髪型300』を交互に見つめ、よーじろーに憧れて伸ばし始めた髪をあーでもない、こーでもない。 ワックスで彼にしかわからない微妙な”跳ね”を調整し続けるのであった。 歯磨きにも三十分費やした。……ちなみに、普段は五分以内。 「凌、朝ごはんは?」 「いらなあい」 スキップで家を飛び出す息子に、母親はとりあえず良い病院でも探しておこうと決意するのであった。  
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