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――それは春、まだ入学して間もない頃のはなし。
その日、彼は母親とケンカをして家に居場所がなく、なんとなく早く登校した。
そして、誰も居ない教室で電気もつけず、窓を見つめる柊未奈の姿を見つけた。
「あ……おはよ」
返事は無かった。シカトされた事に若干苛立ちながら、浅井は自分の席についた。
「浅井、恋愛した事ある?」
「は?」
挨拶をシカトされた上に変な質問。
「恋だよ、恋」
「……いや~好きな人とかは普通にいたりしたけどね」
彼の言葉に、未奈は興味なさそうに小さくふうんと言った。
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