浅井凌の事情

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その言葉に浅井が疑問を投げ掛けようとした時、勢いよくガラガラと音を立てて教室のドアが開いた。 「凌! おはようなんか今日早いね?」 「あ……ああ」 朝練を終えたのはどうやらサッカー部だったらしい。 教室に入ってきたのは、浅井の親友である平山太一(ひらやま たいち)だった。 「……聞いてくれよ、先輩がさあー」 「え? あ……」 「……何? 凌なんか変だぞ」 「いやあ、何でもない」 横目で未奈を見ると、素知らぬ顔でサンドイッチの袋を開け始めていた。 そして浅井は確信した。 彼女はああ見えてきっと照れ屋さんなんだ。 ……ヨシ、誰にも言わない。言ってやるものか! (……本当は言いたかったけど) そして、ここから、浅井凌が柊未奈に翻弄される日々が始まるのである。  
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