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浅井は暫く椅子に座ったまま放心していた。
四月に彼女と同じクラスになってからずっと憧れていた。
柊未奈はクラスの中でも良く目立つ存在だった。
というのも、彼女はクラスで一番人気の女子、桜井絵里奈(さくらい えりな)の親友なのである。
クラスの男子の半分以上はいわゆる『美人』である桜井絵里奈を目で追っていたが、浅井はその隣でエラソーにしている柊未奈の方がよっぽど可愛いと思っていた。
あながち浅井が物好きというワケでもなく、クラスの男子の半分の半分くらいは、むちっとした柊未奈の身体をヤラシイ視線で見ていた。
柊未奈と付き合えるなんて、浅井にとっては夢としか言いようがなかった。
夏休み明けとはいえ、まだだいぶ暑さの残る教室で、浅井はひとり、喜びを噛み締めた。
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