青の王子

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『黄の国』の大臣たちは 扱いやすく利用できる 黄に滅ぼされる隣国は 最終的には手に入る     幾多の家が焼き払われ 幾多の命が消えていく 可憐な緑のあの娘 敢え無く血に染まる         「嘘だ、そんな筈はない!」         夜の華 妖しく咲く 哀しげな彩りで 彼の愛した緑の花芽(かが) 嗚呼 その骸にすら触れられぬ     むかしむかしあるところに 海の向こうの王国の 妃が恋した『黄の王子』 一夜限りの過ちの     史実を消されたその娘 緑の国に追放され 何も知らされず育まれ 運命的な恋に堕ちた     真実を知るは『黄の国』の 『悪ノ娘』の付き翁(おきな) 全ては大臣らの仕業(しわざ) 王子は意を決す         「ああ、僕も逝くよ」         夜の華 華麗に散る 鮮やかな彩りで 血よりも濃い真実の愛 嗚呼ふたりは涅槃(ねはん)で 結ばれる
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