裏切リノ使者

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「愚かな娘よ!」         昔々の海の果て 小さな島国から来るは 黄の国に服従示す 異国の服を纏った使者     絢爛豪華な貢物 紫の使者は跪き 甘く囁く述べ口上         「全てが全て貴女のもの」         足りないならば奪いなさい 反逆者は懲らしめなさい 口うるさい他者の戯言 お聞きにならぬよう         「貴女は、王女なのだから」         悪の使者 跪いて 争いの種を蒔く 哀れ一夏で散る命 嗚呼、太陽を模し咲く向日葵     たちまち王女のお気に入り 相談役を任じられ 王女の恋を知りながら 青の王子の浮名教え     煩わしいのは召使 計画の邪魔をさせぬよう 優しく王女に進言す 『奴を刺客にするべきだ』と     画して戦火は燃え上がり 幾多の命が消えて行く 苦しむ人々の願いを 王女には聞かせない         「さあ、お茶にしましょう」         悪の使者 跪いて 破滅の苗育てる 散ると知って尚美しい 嗚呼、愛おしい愚かな王女様     筋書き通りのこの芝居 赤き剣士が立ち上がる 使者は怒れる群衆に 異国の武器を貸し与えた     怒りと悲しみを注いで 花咲く革命の蔓薔薇 密約と金で手懐けた 親衛隊は見て見ぬふり 
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