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片倉小十郎が、ガラシャの部屋に入った時、ガラシャは白装束を着て、美しく化粧をし、静かに祈りながら小十郎を待っていた。
美しい百合の花のようなガラシャを、瞳の奥に焼き付けるように、小十郎はガラシャを見つめた。
「そろそろ時が来たようです」
ガラシャは体を前に倒し、首を差し出したが、考えを変えたのか、また体を起こし、「死の直前まで片倉様のお顔を拝見したいので、私の喉を剣で突いて下さい」
そう言って小十郎を見つめ、輝くように微笑んだ。
「それでは奥方様、お覚悟を!」
小十郎はガラシャの前に膝を付き、刀の切っ先をガラシャの喉元へ当てた。
「主よ、片倉様をお守りください」
小十郎はガラシャの喉に刀を突き刺した。ガラシャの帰り血を浴びた小十郎は、倒れたガラシャを横たえ、家臣達にガラシャの死を伝えた。家臣達はガラシャの亡骸に白い絹の布団を掛け、さらに畳を立て掛け、亡骸に火を放った。
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