人質として

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小十郎は、心が二つに分かれてしまう。 片時も離れず、守り続けて来た主君を置いて、一人の女のもとへ行く等という愚行をおかせる訳がない。 しかし………この女とは………これが最後になるであろう。 契りあった仲でもなく、心の中にいつも咲いていた花。 彼女も同じ思いだったのだろうか?死を前にして自分に来て欲しいと文を寄越す、この女に最後に一目会いたい。 しかし、もし自分が死ぬような事になったなら、主君である政宗を生涯守り通すという自分の誓いを、自ら破る事になる。それは、小十郎の心を苛んだ。
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